第4回 「入れば、入れ歯」
歯顎塾
ここは入れ歯再生工房でもあります。
どんな入れ歯でも、これまで修正し、再生してきました。
少なくともその努力をしてきました。
当診療所のメインは、噛みあわせ治療です。が、そのベースになっていたのが、実は、人工の歯での機能 回復技術、つまりかぶせや入れ歯を作る技術です。私自身そのことを研鑽し、手づくり(ハンドメイド)してきました。このキャリアを生かせば、入れ歯を修 正、再生することもできるので、それもやってきました。
そもそも子供の頃から細かいことが大好きで工作や模型作りに熱中した少年時代でした。それで歯科大学生時代には、歯を作るなら、より美しく、より天然に近 い完全なものをつくろうとしていました。また自分のつくったものが日常使ってもらえることに喜びを感じて、これまで歯科人生をおくってきました。
そして、それが歯のよりよい噛みあわせの研究につながっていったわけです。
当然のことですが、天然の歯の形には、意味があってこのような造形がなされています。そして歯の噛みあわせには、驚くほど精緻で、完璧なシステムが付与されています。
この見事な芸術作品に日々出会い、見せていただけることに、深い感動を覚えます。
どんな歯、どんな噛みあわせであろうと、そうなりながらもなお、がんばっている姿に、敬意を感じます。これがどんな義歯でも、何とか修理して再生できないだろうかという原点になっているかもしれません。
もちろん現実に、これまで自分で義歯をつくってきたから、義歯を修理再生できるのだと思います。同じ義歯なのに、古い義歯なのに、もうダメだと思っていた義歯なのに、エーと思うくらいに義歯は生まれ変わります。
表面の歯のあるところは、よりよい噛みあわせに。
裏側のどて側のところには、できるだけぴったりと。目の前で修理技工を、お見せしながら、生まれ変わっていく義歯を、体験していただいています。
歯医者という仕事が、大好きな歯医者がいて、つくる喜びを知っている歯医者は、使っていただける喜びを感じつつ、つかう喜びの患者さんに囲まれてきました。
再生でも、新製でも、なんでもいいから『入れ歯でも噛める』喜びを、わかちあえればうれしいです。